人毛ウィッグ
人毛ウィッグとは、人毛つまり人の頭に生えていた毛髪を原料として作られたウィッグ、つまりかつらのことです。現在ではウィッグのために人工毛髪を作る技術が格段に進歩しているので人毛を使わなくてもウィッグを作ることは可能ですし、現在のウィッグは大半が人工毛髪です。ですがそんな技術が確立するまでは、ウィッグは全て人毛で作られていました。つまり人毛ウィッグしかありませんでした。 O・ヘンリーというイギリスの作家が書いた物語で「賢者の贈り物」という有名なお話があります。貧しいながらも愛を育んでいた男と女がクリスマスを迎え、男は宝物にしている懐中時計を売って出来たお金で女に髪飾りを買い、女は自慢の美しい髪を売って男のために懐中時計のチェーンを買います。いざクリスマスにプレゼントを交換するとお互いのプレゼントは意味をなさなくなってしまっていたものの、2人は愛を確認できたとても幸せだった、というお話です。この時代は女性が髪を売ってお金にすることが当たり前に行われていたことを示しており、売られた髪は人毛ウィッグになっていたと考えられます。
話を現在に戻します。現在では人工毛髪の技術が進歩してかなり人毛に近いところまで作ることが出来るようになっているのですが、やはり本物にはかないません。本物の人毛は保湿性や耐久性にとても優れており、ウィッグとして使用してもさらにリアリティがあります。 おしゃれ用のウィッグとしても人毛ウィッグは価値があるのですが、おしゃれ用ウィッグ以外のところで人毛ウィッグは大変重宝されています。その分野とは医療用の分野です。医療用でかつらが必要になるというのは抗がん治療などで髪の毛を失ってしまった場合などです。男性ならまだしも、女性にとって髪を失うと言うのは精神的にもショックが大きいですから医療用ウィッグを使用することになります。医療用ウィッグなのでおしゃれ用ウィッグのように奇抜なヘアスタイルというものではなく、むしろベーシックなヘアスタイルに作られています。それには人毛ウィッグが最適なのです。人毛は本来奇抜なヘアスタイルをするには不向きですが、医療用のように無難なヘアスタイルをするには適していますし、何よりも本物と見分けが付かないというのは女性にとって何よりの安心感があります。単なるおしゃれ目的だけではなく、人毛ウィッグはこの分野でとても人の役に立っており、この分野は現在でも進化が続いています。